合併、会社分割を原因とする名義変更
このページでは普通自動車の「吸収合併」、「会社分割」を原因とした名義変更(移転登録)の手続の流れと必要書類について説明します。「移転登録」はナンバープレートが付いている車両の名義変更となりますので、ナンバープレートの変更がある場合は、旧ナンバープレートを運輸支局に返納します。なお、普通自動車の移転登録は車検証の有効期限が切れていると手続きを行うことができません。
名義変更完了までの手順
-
1.車庫証明の取得
普通自動車の名義変更をする際には原則、車庫証明を取得して運輸支局に提出します。(例外的に使用者の住所と使用の本拠の位置に変更が無ければ車庫証明は不要のケースもあります。)車庫証明を取得するまでの手順は以下をご参照下さい。
-
3.登録申請
新たに自動車の使用者となる法人の「使用の本拠の位置」を管轄している各都道府県の運輸支局の窓口に登録申請を行います。「使用の本拠の位置」は「自動車保管場所証明書(車庫証明)」に記載されています。
-
4.車検証の交付・自動車税申告
登録書類に不備が無ければ、新しい車検証が交付されます。車検証が交付されたら、そのまま隣接する県税事務所の窓口に自動車税の申告を行い、自動車税を支払います。(自動車税がかからない車両もありますが、必ず自動車税申告は行います。)
なお、ナンバープレートに変更が無ければ、手続は税申告で完了です。 -
5.ナンバープレートの取付・封印
ナンバープレートに変更がある場合は、自動車税申告を終えたら、そのままナンバープレートの交付窓口に向かいます。その場でナンバープレートが交付されますので、持ち込みした車両にナンバープレートを取り付けて封印を行います。ナンバープレートの封印は法令に基づいて専門の作業員が行います。なお、行政書士による出張封印は運輸支局に車両を持込せずに、封印資格のある行政書士が車両の場所に出張して封印を行うことが可能です。
※弊所に手続のご依頼を頂く際の流れにつきましては、「ご依頼を頂く際の流れ」をご覧下さい。
※当サイトをご利用の際には免責事項をご確認下さい。
必要書類について
吸収合併を原因とする名義変更
自動車の所有者(旧所有者)の法人が吸収合併をされると「合併」原因とする自動車の移転登録(名義変更)を行うことになります。
「吸収合併」とは、例えば株式会社A(自動車を所有している会社)を株式会社Bが吸収合併する場合、株式会社Aは解散(消滅)して株式会社Bに吸収されます。この際に株式会社Aが所有している自動車の所有権は株式会社Bに移転します。なお、「合併」を原因とする名義変更は、第三者がエンドユーザーとなることが多く、中間の手続きに「合併」を原因とする移転登録が入ります。
必要書類
- 1.車検証の原本(新しい車検証はA6サイズ相当)
※有効期限内の車検証 - 2.履歴事項全部証明書等(吸収合併の履歴を確認できるもの)
- 3.印鑑証明書(新所有者)※発行日から3か月以内
- 4.自動車保管場所証明書(エンドユーザーの車庫証明)※交付日から30日以内
- 5.ナンバープレート前後2枚(管轄変更又は番号変更がある場合に必要です。)
- 6.委任状(新所有者の記入用).pdf
※希望番号は事前に申し込みが必要です。
※上記の書類以外に申請用紙(マークシート)、税申告書等の複数の書類を記入して一緒に提出します。
会社分割を原因とする名義変更
自動車関連会社等が会社分割をする際に自動車の名義変更を行うことがあります。会社分割には2種類あり、例えば、自動車関係の会社が事業部門を切り離して、関連会社に承継させる「吸収分割」、新たに設立した会社に事業部門を承継させる「新設分割」があります。法人が会社分割を行う際に、自動車の所有権が分割会社(自動車を所有している会社)から承継会社(自動車の譲渡を受ける会社)に移転することがあります。なお、会社分割を原因とする自動車の名義変更において、ほとんどのケースはエンドユーザーが第三者となり、中間の手続きに会社分割を原因とする移転登録を行います。
必要書類
- 1.車検証の原本(新しい車検証はA6サイズ相当のカードタイプ)
※有効期限内の車検証 - 2.印鑑証明書(旧所有者)※発行日から3か月以内
- 3.印鑑証明書(新所有者)※発行日から3か月以内
- 4.自動車保管場所証明書(エンドユーザの車庫証明)※交付日から30日以内
- 5.ナンバープレート前後2枚(管轄変更又は番号変更がある場合に必要です。)
- 6.譲渡証明書(新・旧所有者の記入用).xls
- 7.委任状(新・旧所有者の記入用).pdf
- 8.履歴事項全部証明書等(吸収分割、新設分割等の履歴を確認できるもの)
- 9.吸収分割契約書又は新設分割計画書(全ページのコピー)
- 10.株主総会議事録(全ページのコピー)※分割契約、分割計画の承認決議を可決しているもの。
但し、簡易分割、略式分割等の場合は株主総会決議が省略される場合もあります。
※希望番号は事前に申し込みが必要です。
※上記の書類以外に申請用紙(マークシート)、税申告書等の複数の書類を記入して一緒に提出します。
旧所有者に商号変更、本店移転等がある場合
車検証に記載されている法人の「本店」、「商号」に変更等があった後に、車検証の変更手続を行わずに、新しい所有者に名義変更を行う際には、通常の名義変更手続の書類と合わせて以下の「変更の履歴を証する書面」の提出を求められます。
〈旧所有者(法人)の以下の書類が必要です〉
必要書類
※下記の書類は全て原本が必要です。
- 1.「履歴事項全部証明書」(発行日から3ヶ月以内)
- 2.「閉鎖事項証明書」(発行日から3ヶ月以内)
※「閉鎖事項証明書」は「履歴事項全部証明書」のみでは変更履歴が繋がらない場合に提出を求められます。
「履歴事項全部証明書」について
法人の「履歴事項全部証明書」とは、一般的に「会社の登記簿謄本」とも呼ばれ、現在、登記されている事項及び証明書の交付申請をした日から遡って3年前の日に属する年の1月1日から、抹消された登記事項の履歴が全て確認できる証明書です。
例えば、平成29年6月1日に法務局で「履歴事項全部証明書」の交付申請をすると、ちょうど3年前が平成26年6月1日になります。
取得できるのは「3年前の日に属する年の1月1日から」ですから、平成26年1月1日以後に商号の変更登記をしていたり、本店を移転登記をしていたりすると、それらの履歴が全て記載されます。(※ただし、抹消されたことを表わす下線が引かれた変更前の事項の内、「商号」と「本店所在地」については,現在効力がある商号及び本店所在地の直前の商号又は本店所在地は必ず記載されます。)これらの証明書は全国の法務局の支局・出張所の窓口にて取得できます。オンラインや郵送での請求も可能です。
「閉鎖事項証明書」について
「閉鎖事項証明書」とは現在効力を有していない過去の登記事項の履歴を確認できる証明書です。「履歴事項全部証明書」には載らない登記事項になります。
なお、以下のような原因で会社の登記記録は閉鎖されます。
- 吸収合併、新設合併された。
- 他の管轄の法務局へ本店移転した
- 会社を解散して清算手続きを行った
- 特例有限会社が株式会社へ商号変更した
- 持分会社(合名、合資、合同)が株式会社へ組織変更した
- みなし解散の登記をされた
※株式会社については、最後の登記から12年を経過しているもの、一般社団法人又は一般財団法人については、最後の登記から5年を経過しているものについて、法務大臣による官報公告を行い、2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出や役員変更等の登記の申請がない法人は、登記官の職権により、みなし解散登記がされます。
「履歴事項全部証明書」のみでは車検証に記載されている商号の変更や本店所在地の移転の履歴が繋がらない場合は、「閉鎖事項証明書」が必要となることがあります。
※当サイトをご利用の際には免責事項をご確認下さい。


